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2009年8月16日 (日)

トライボロジーの観点から、ドライスタートを考える。

潤滑を専門的に捉える「トライボロジー」と言う学問があります。

語源は、ギリシャ語で「摩擦する」を意味する「トライボス」から派生しています。



エンジンの内部パーツの多くは動いていますので、そこに摩擦が発生しています。

その、摩擦による磨耗、損耗を防止するのが、エンジンオイルの大きな仕事です。



エンジン内部で発生している摩擦の状況を、説明していきたいと思います。


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まずはコチラから。

油膜が完全に切れている状態です。

これを「固体摩擦」もしくは「固体潤滑」と言います。

油膜が無く、乾燥しているので、「乾燥摩擦」もしくは「乾燥潤滑」とも呼ばれます。

この時点でのエンジン内部の摩擦係数は最大となります。



エンジン内部でも、最近はピストンのサイドスカートなどに、固体潤滑剤としてのモリブデンショット加工などが見受けられるエンジンもあります。

ですが、エンジン内部のほとんどの部分では、そう言った材料は使用されておらず、固体摩擦の状態では、金属同士の接触による摩擦熱の発生があります。



エンジンが焼きつくような摩擦熱は、このように固体同士が接触する事で発生し、最終的に金属同士が融着する状況にまで進展します。


エンジン以外の部分では、固体潤滑剤の使用例が増えてきていますが、エンジン内部のように高温で、局所的な高負荷がかかる部分には、未だ一般的な採用例は多くありません。








続きます。

2009年7月29日 (水)

潤滑をもう少し考えてみます。(ドライスタートって?の続き、その3)

潤滑を専門的に考える「トライボロジー」と言う学問があります。

エンジンや機械だけに限らず、自然現象や生体に対してまで考える、範囲の広い学問です。

その中でも、機械の潤滑を考える時、「摩擦・磨耗・潤滑」は、切ることの出来ない相互関係にあります。


この「トライボロジー」の視点から見た潤滑とは「対向する二面の物体を引き離すために、第三の物体をその間にはさむ」事をいいます。

つまり「磨耗してはならない物体同士が接触しないこと」

それが潤滑です。

つまり、エンジンオイルをはさんでいる物体同士は接触していません。


一般的な潤滑のイメージと言うと、「オイルで濡れている」ぐらいのイメージだと思いますが、それを微視的に見れば、その物体同士はオイルに浮き、接触していないのです。

この潤滑されているとき、物体間にかかる摩擦係数は、間にはさまれている物体(エンジンの場合はエンジンオイル)の摩擦係数となります。

だから回転中のエンジンの抵抗は少ないのです。

オイルを間にはさんでいる物体同士が接触していない、と言う証拠が、あるバイクのエンジンに採用されています。

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この写真をご覧下さい。

これはスズキの「チョイノリ」と言うバイクに採用されているカムシャフトです。

なんとこのカムは、プラスチックで出来ています。

チョイノリのエンジンは、今や古典的なOHVです。

OHVは、その構造上、カムシャフトが腰下にあり、カムシャフトをオイルに漬けておく事が可能です。

オイルに漬かり、油膜が切れさえしなければ、潤滑によって保護されていますので、カムはプラスチックでも大丈夫なのです。

とは言え実際には、オイル交換を怠ったりオイル量の減少などで、油膜切れによるエンジントラブル例は大変多い車種なのですが。

本来、エンジン内部に金属を使っていても、油膜が切れた状態なら、金属でもプラスチックでも磨耗はします。

きちんとした「潤滑」を受けるには、適切な量のオイルを、適切な圧力で届けることがとても大事です。

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この2枚の写真は同じエンジンのカムシャフトの、ウエット時とドライ時の対比です。

この比較図を見ていただくと分かると思いますが、エンジンの作動部品の表面には、多量のオイルが流れています。

そのオイルによって、この場合はカムシャフトとロッカーアーム、カムシャフトとシムの間は隔離されています。




エンジンにとって良くないのは、ドライの状態です。

それは高回転時でも低回転時でも変わりはありません。

エンジン回転中のドライ状態を防ぐために、エンジンオイルは進化し、オイルポンプの駆動が抵抗になる事を理解した上で、エンジンオイルを高い圧力で圧送している。

この事実が「ドライ状態がエンジンに良くない」と言う、何よりの証拠です。





ドライスタートを気にすることは無い、と言う意見も、ネット上で見られるのは、確かな事実です。

しかし、そう言った意見の多くは、潤滑と言う概念を理解していない意見が多いのではないかと思います。



潤滑状態に早く持ち込み、エンジンの磨耗をきちんと減らすなら、エンジンオイルを先に送る以外の選択肢はありません。

それに気づいている人の多くは、すでにZIP-STARTを選んでいらっしゃいます。

2009年7月 8日 (水)

エンジンの寿命を決めるのは(ドライスタートって?の続き その2)

エンジンの好調を保つには、エンジンオイルの仕事がとても大事です。

エンジンが回転中、油膜が切れるとエンジンは大きなダメージを負います。

それを防止するために、エンジンオイルに常時圧力をかけ、エンジン内部に送り続けています。


しかしその油膜が途切れてしまう時があります。

オイル交換を怠り、オイルが劣化し油膜を維持出来なくなる時。

オイルの量が減り、オイルポンプがオイルを吸い上げる事が出来なくなった時。

オイルの能力を上回る圧力がかかり、油膜が押し切られてしまった時。


そして始動時。


走行距離は長くても調子の良いエンジン、が確かにあります。

逆に、走行距離が短くても不調なエンジンもあります。

それは多くのドライバーが体感している事ではないでしょうか。

そのエンジンの劣化は、なぜ進むのか。


距離を走っているから、と言うだけではありません。

車が古いから、と言うだけでもありません。


例えばタクシーなどは40万キロ走るものもざらにあります。

チョイ乗り程度の使われ方なのに、劣化の激しいエンジンもざらにあります。


この差は一体どこにあるのか。

それを考えた時、ある事実が見えてきます。


それは「エンジンの磨耗は、金属同士の接触回数で決まる」と言う事です。

走行距離が長くても、金属同士の接触の回数が少なければ、エンジンは磨耗しません。

走行距離が短くても、金属同士の接触回数の多いエンジンは、磨耗が進んでいきます。




エンジン内部の作動パーツは、全てオイルに乗って、滑って作動しています。

通常、パーツ同士は接触していないのです。

接触していないから、高温、高圧、高回転の厳しい環境でも、長寿命を実現出来ているのです。

どんな丈夫な金属を使っても、触っていては持ちません。


エンジンの具体的な長寿命化、性能維持には、パーツ同士の「接触回数」を減らす事が、何よりも大事なのです。


エンジン始動前に油圧をかける「プレオイリング」が、長寿命、性能維持の必要性がある所で採用されているのは、必然なのですね。



プレオイリングシステム ZIP-STARTのページはコチラ

2009年7月 7日 (火)

エンジン焼き付きのメカニズム(ドライスタートって?の続き)

前回のブログ記事で、通常回転中のエンジン内部では金属同士の接触は無い、と書きました。

これは、自分でエンジンを組み上げるぐらいの、機械的知識をお持ちの方の多くがご存知な事だと思います。




この「通常回転中のエンジン内部での金属接触」とは、エンジンにとって致命的な結果を招く出来事なのです。

その結果とは「エンジンの焼き付き」です。




通常回転中のエンジン内部で、万が一油膜が切れ、金属同士の接触が発生したとします。

その時、金属同士の接触点において摩擦が発生し、摩擦熱を発生させます。

その摩擦熱の影響によって、接触点の周囲の温度が急上昇します。

温度の急上昇は、周辺のエンジンオイルの温度も上げます。

温度上昇を受けたオイルは粘度が低下します。

粘度が低下したオイルは、油膜の維持が難しくなります。

そのため、最初は一部だった油膜切れ(=金属同士の接触)の範囲がより大きくなり、連鎖的に金属同士の接触が発生。

金属同士が触れている所が多くなると、摩擦熱により素材の融点に達し、エンジンパーツが融解。

エンジン焼き付きを起こす、と言う流れで、エンジンが壊れるのでした。




エンジンにとって致命的なトラブルである「焼き付き」は、ほんの少しの金属同士の接触から始まります。

これが連鎖的に広がり、致命的なトラブルとなる。

市販エンジンでは、重大事故にもつながりかねないこの「エンジン焼き付き」を、何よりも恐れ、回避するようにエンジン設計を行っています。




こう言った「油膜切れによる焼き付き」が市販エンジンで発生するのは、劣化したオイルの使用、オイルの減少やオイルポンプなどのトラブルによる油圧低下、過度の高回転(オーバーレブ)などの限られた条件です。

つまり、通常の使用において、エンジンは「壊れない(ユーザーに壊されない)」ように作られているのですね。


まだ続きます。

2009年7月 5日 (日)

ドライスタートって?

ドライスタートって、本当にエンジンに悪いんですか?と言う根源的な質問を頂く事が、時々あります。

はっきり言います。

悪いです。

意外と一般の方には知られていない事なんですが、エンジンの中の部品は、エンジン回転中に、全く触れていません。

動く部品と部品の間にエンジンオイルが入り込み、オイルの膜(油膜ですね)によって、完全に隔てられているのです。

もちろん、これも適切なエンジンオイルが、適切な油圧で、必要な場所に十分届けられている事が大原則ではあります。

しかし近代的なエンジンのほとんどは、この条件は満たしています。

もし、エンジン内部の部品同士が高温時に一瞬でも接触すると、エンジンは致命的なダメージを負います。

いわゆる「焼き付き」と言う状態になります。

ドライスタートがエンジンに良くないのは、オイルが届いていないために、金属同士が触れながら作動するから、なのです。

触れていない100時間より、触れている1秒。

エンジンパーツは、触れていない時には磨耗しないのです。

そして、回転中のエンジン内部で、金属同士が接触してはいけない理由があります。

それは、エンジン内部での接触は、エンジンにとって致命的なトラブルである「焼き付き」の直接的原因となりえる、と言う事です。

詳しくは続きます。

2009年7月 1日 (水)

バイカーズステーション誌に。

http://homepage3.nifty.com/ZIP-START/bikers.pdf

以前、バイカーズステーション誌に紹介された記事の、ネットへの公開のご許可を頂きました。

pdfファイルにしてありますので、ぜひ一度ご覧下さい。

記事を書いて頂いたのは、バイカーズステーションの編集長の佐藤康郎さんです。

取り付けをしたバイクも、佐藤編集長の個人所有のCB830F(CB750F改)です。

佐藤編集長は、生粋のバイク、車好きです。

機械に対する造詣もとても深く、バイクやそれにまつわる機械が好きな方なら、バイカーズステーションは読んで満足出来る雑誌だと思います。

雑誌の作り方も実証主義ですので、試して紹介する、と言うスタンスを崩しません。

いろんな編集者の方とお話をする機会はありますが、佐藤編集長ほどの筋金入りの機械好きの方は稀だと思います。

ぜひ書店で見かけた際は、お手にとって見て下さい。

機械好きが文章から伝わってくる本ですよ。

2009年6月30日 (火)

四輪F1。

ちょっと前に、某社のコレクションホールに取材に伺いました。

以前、当ブログでもお名前の挙がった「尾熊洋一氏」のご紹介で、専属のスタッフの方とお話しする機会に恵まれたのでした。

すでに「尾熊氏つながり」って事で、どこのメーカーかもバレバレですねw

ツインリンクもてぎにある、ホンダコレクションホールです。

こちらで、レストアを行う専属スタッフの方とお話してきました。

ここは、ホンダの社内的にも結構競争率の高い部署なんだそうです。

それはそうでしょうね。

他で触ることが出来ないちょっと前まで現役だった本物のレーサーや、もうどこを探しても手に入らないような、貴重なビンテージカー&バイクが置かれていて、それら全てが動態保存だ、と言うのですから。

基本的には、全ての機械が、定期的にメンテナンスもしくはオーバーホールを受けて保管されています。

これは機械好きにはたまらないパラダイスです。

自分も働きたいですもん(笑)

とは言え、残念ながらそうも行きませんので、お仕事のお話に移らせて頂きました。

当初我々は、コレクションホールででも使っていただけないか、と、若干の期待を持ってコレクションホールを訪れました。

まぁ、「生産状態での動態保存」が、基本概念である、と言う事も聞いてはおりましたので、おそらく無理だろう、と思ってもいたのですが。

で、結局そっちの方のお話は、やはり生産状態での動態保存が目的なので、後から何かを付けることは出来ない、と、やんわり断られてしまったのでした。

が、我々は、そこで貴重なお話を伺いました。

「エンジン始動前にオイルを流す、プレオイリングシステムがこちらです」と、ZIP-STARTをお見せした所、スタッフの方お二人が声を揃えて

「ああ、F1に使っているのと同じものですね」とおっしゃったのです。

「もっと詳しくお話を」と聞く我々に

「当社の作るF1エンジンには、始動前にオイルを流すシステムが標準で装備されているんですよ。」と教えて下さいました。

F1エンジンの場合、始動磨耗も性能劣化の要因として、決して侮れないと言うことなのです。

もちろんプレオイリングシステムが無くてもエンジンは掛けられるけども、厳しい世界で戦うエンジンです。

わずか数%の劣化でも、性能の落ちたエンジンに用は無い、と言うことなのです。

我々は、コレクションホールでZIP-STARTを使ってもらう、と言う希望はかないませんでしたが、とても良いお話を聞かせていただいた、と、満足して帰路につきました。

四輪F1の世界で使われ、それが性能維持に役立つから採用されているシステムが、市販エンジンに対しても有効である事は、疑問を持つ余地が無いからです。

以前紹介した大型船舶のエンジン始動法こちらもご覧下さい)も含め、必要とされる場所には採用例のあるプレオイリングシステム。

自動車やバイクに採用されないのは、それらが「消耗品」である、と考えられているからに過ぎません。

「車やバイクは消耗品」と割り切って、ある程度のサイクルで買い換える人には、確かに必要の無いシステムでしょう。

しかし、それらの機械をより長く好調に使いたい、と考える人にとって、プレオイリングシステムは、価値のあるものだと思います。

こちらもぜひご覧下さい。

2009年6月28日 (日)

SIS2009にて。

SIS2009の時に、お客様からいろいろなお話を聞かせていただきました。

その中で印象的だったのが、昔、フェラーリの並行輸入を行っていた、と言う方に聞かせて頂いたお話でした。

オールドフェラーリの多くは、大きなオイルエレメントを、上から下にねじ込むような構造で取り付けられていました。

ご自分でオイルエレメントの交換を行う方でしたらご存知の事と思います。

上から下に向けてねじ込まれているオイルエレメントは、エレメントの中のオイルがほとんど落ちてしまいます。

このタイプのエレメントは、エレメント移設キットなどを使い、エレメントの向きを上下ひっくり返してあげるだけで、始動時の異音が小さく&短くなり、油圧計の針の上がりが早くなります。

特にエレメントが大きい車の場合、この傾向が強くなります。

当社HPにも、その旨は紹介してありますが、その差は意外と大きいものです。

話を戻します。

この方がおっしゃったお話です。

「輸入直後のフェラーリで、アクセルワイヤーが固着していてね。

アクセル踏みながらエンジン始動したら、いきなり吹けちゃってエンジンブロー。

それはそれは怒られたよー(笑)」

そうだろうと思います。

エンジン内部で、唯一オイルが切れる始動時。

しかもオイルエレメントが空っぽになっていて、オイル供給に時間がかかる状態で吹けてしまったエンジンは、大きな負荷がかかります。

アイドリングですら厳しい状態なのがドライ状態です。

吹けてしまったエンジンが、いきなりブローするのも当然ではあります。

昔語りとして貴重なお話を聞かせてくださったお客様は「こう言うものがあったら、始動も怖くないねぇ。いいものを作りましたね。」

とおっしゃって下さいました。

エンジン内部で唯一オイルが届かない始動時、それがいかにエンジンに良くないのか。

それを如実に語るエピソードだと思いました。

我々には、正直言って不思議なのです。

エンジンのダメージを気になさっているからこそ、良いグレードのエンジンオイルにこだわる方が多いのに、オイルの切れている回転をなぜ気にしない人が多いのか、と思います。

回転中のエンジン内部で、オイルが切れる時間は2種類です。

オイルが回っていない始動時と、回転中に油圧が低下した時。

後半はすごく重大な問題として取り上げられるのに、前者はなぜ語られないのか。

それが不思議でしょうがないのです。

2009年6月25日 (木)

遅ればせながら。

特選外車情報 F-ROAD誌、2009年6月号にて、当社ZIP-STARTが紹介されました。

今回のSIS2009にも、拡大コピーを持っていきました。

結構いい感じに書いていただきましたので、当該誌をお持ちの方は、ぜひ読み返してみて下さい。

29ページに紹介されております。

よろしくお願い致します。

ずいぶんとご無沙汰してしまいました。

ずいぶんとご無沙汰してしまいました。

テストとしてブログを始めてみて、ログインパスワードを忘れてしまってそれっきりになっておりました。

忘れていたパスワードを思い出したので復活です。

本当にごめんなさい。

さて。

先日、東京ビッグサイトにてSIS2009(スペシャルインポートカーショー2009)に出展して参りました。

当社ブースを訪れていただいたお客様には感謝いたします。

誠にありがとうございました。

当社ブースは、東4と、東5の中間の柱の根元、と言う、目立つんやら地味なんやら、みたいな所ではありましたが、パンフレットの配布枚数は500部を越え、その半数以上のお客様とお話をさせていただける機会に恵まれました。

どうしても説明の時間が足りなかった部分もありますので、今後もご質問を受け付けたいと思います。

皆様、よろしくお願い致します。

«バイカーズ・ステーション誌に。

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